診療・研究内容

動脈硬化/分子臨床 Arreriosclerosis / Molecular clinical

循環器疾患の遺伝子変異・発現

リポ蛋白を中心に循環器疾患の遺伝子変異・発現に関する研究を行っています。

ヒトのアポA-I、アポA-V、アポE、リポ蛋白リパーゼ、コレステロールエステル転送蛋白などの遺伝子変異解析を行っており、多数の新たな変異検出および解析実績があります。また、Brugada症候群の原因遺伝子の一つであるSCN5Aの解析や、ファブリー病の原因遺伝子であるGLAの解析も行っており、いずれも多数の新たな変異を検出してきました。また、ABCG1遺伝子プロモーター解析およびプロモーター多型の検索を行い、心血管病やリスクなどとの関連性を検討してきました。

さらに、遺伝子のSNPsの研究、発現制御に関する薬物制御に関する臨床・基礎研究を行っています。

高比重リポ蛋白(HDL)治療とアンジオテンシンII受容体の機能解析

HDLは、末梢からのコレステロール引き抜き作用のみでなく、多面的効果によっても虚血性心疾患の発症・進展抑制をもたらします。現在、冠動脈疾患の予防・再発抑制治療として、遺伝子治療や再生医療が盛んに進められていますが、人工的に作製したHDLの投与を治療手段として捉え、遺伝子治療や再生医療に並ぶHDL治療という新たな分野の確立を目指しています。最近では、新規のアポA-I模倣ペプチドも開発しています。

また、アンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)が臨床に頻用されていますが、その有用性を臓器保護の面から臨床・動物実験において追求し、基礎的研究としてアンジオテンシンII受容体機能解析も実施しています。

リポ蛋白分析と統計データ解析

キャピラリー等速電気泳動(capillary isotachophoresis)法を用いてHDL、低比重リポ蛋白(LDL)と超低比重リポ蛋白(VLDL)亜分画の測定を行っています。

陰性荷電変性LDL及びsmall, dense LDL分画に存在する変性LDL(超悪玉)の臨床的意義及び脂質低下薬が及ぼす効果も検討しています。また、LC/MS/MSによる酸化ストレスマーカーの測定法を開発中です。さらに、SAS(Statistical Analysis System)による臨床研究データの解析と、ACCESSによるデータベースの開発を行っています。