急性下肢動脈閉塞に対する血栓吸引カテーテルシステムの導入について
急性下肢動脈閉塞は、足の血管が急に閉塞し、血液の流れが途絶えてしまう疾患です。閉塞時間が長いと下肢の機能が失われるだけでなく、命にかかわる場合もあるため、速やかに血流を再開させる必要があります。治療法にはカテーテルによる血管内治療と外科的手術があり、患者さんの全身状態や閉塞からの時間、部位を踏まえて最適な治療法が検討されます。
当院では、近年登場した新しいカテーテルデバイスとしてPenumbra社のIndigo® Aspiration System (インディゴシステム) を導入しています。インディゴシステムは専用のカテーテルと強力な吸引ポンプを組み合わせて使用し、血管を塞いでいる血栓を効率よく除去できるのが特徴です。さらに、カテーテル径にもバリエーションがあり、細い血管から太い血管まで幅広く対応可能です。外科手術と違って切開を必要としないため、身体への負担を抑えつつ、入院期間の短縮も期待できます。
A. Indigo吸引カテーテルとB. Indigo吸引ポンプ
Akhilesh K. Sista. et al. JACC Cardiovasc Interv. 2021 Feb 8;14(3):319-329. より引用.
心原性ショックに対するIMPELLA(補助循環用ポンプカテーテル)について
IMPELLA(循環補助用心内留置型ポンプカテーテル)は、左室内に挿入するカテーテル式の経皮的補助循環装置であり、内蔵する小型の軸流ポンプによって、カテーテル遠位側の吸入部から脱血し(左心室内)、近位側の吐出部(上行大動脈)から駆出/送血する、短期使用目的の経皮的左室補助人工心臓です。
IMPELLAの特徴としては、大動脈バルーンポンプ(IABP)が圧補助であるのに対して、経皮的心肺補助(PCPS/V-AECMO)と同様に流量補助が可能であるという点があげられます。一方で逆行性送血による補助を行うPCPS/V-AECMOとは異なり、IMPELLAは左心室内の血液を直接脱血し、上行大動脈から順行性に血液を送り出すことから、より生理的で、左室後負荷の上昇による左心系のうっ血や血栓形成などの問題が生じにくいと考えられています。適応は薬物療法抵抗性の急性心不全・心原生ショックであり、心原性ショックを伴った急性心筋梗塞、劇症型心筋炎などに対して使用されます。
当科ではこれらの最新機器を駆使し、ひとりでも多くの患者様の救命を目指しています。