診療・研究内容

経カテーテル的PFO (卵円孔開存) 閉鎖術について

脳梗塞は年間およそ20~25万人程度が発症し、急性期治療と並んで再発予防が重要な疾患です。特定のタイプの脳梗塞として、PFO (卵円孔開存) を介した、奇異性脳塞栓症があり、若年者では重要な原因の一つとされています。左右の心房を隔てる心房中隔には胎児期に卵円孔という孔があり、通常は自然閉鎖しますが、健康成人の約20%で残存しています。静脈系に生じた血栓が、この孔を通過して脳に到達することで脳梗塞になりえます。従来の薬物治療単独、外科的閉鎖術に加え、当院では低侵襲なカテーテル治療も行っています。卵円孔を挟むように閉鎖栓を留置して隙間をふさぐことで、脳梗塞の再発予防が期待できます。処置は全身麻酔で実施し、所要時間は約1~2時間程度、入院は数日間が目安です。治療後は一定期間、抗血栓薬 (血液をサラサラにする薬) を内服しながら外来で経過観察を行います。当院では脳神経内科、脳神経外科、心臓血管外科と密に連携し、適応評価から治療まで一貫した体制で診療にあたっています。

  • ① 奇異性脳塞栓症

  • ② カテーテルを用いて卵円孔を閉鎖する栓 (2枚のディスクで挟む)

  • ③ 閉鎖栓が心臓内に留置された状態